鹿成獣の胸椎
胸椎は13つの椎骨で構成されています。写真左側が頸椎(頭部)側です。なお写真は雌鹿の骨です。
頸椎側の関節が凸、腰椎側が凹になっていてそれぞれが連なっています。椎骨同士は「椎間円板」を挟んでくっつきます。椎間円板は標本を作る過程で溶けてしまいます。

第一胸椎から第十一胸椎までは関節が重ね合わせるように連結しています、第十一胸椎の後ろ側以降は骨の上部が差し込むようになっています。


肋骨は各椎骨から左右に1本ずつ、合計26本くっついています。なお鎖骨は退化して有りません。犬、猫、牛や馬など四足歩行をするほとんどの動物も同様です。肋骨の先は胸骨で繋がっています。肋骨の標本は保管スペースの関係上作成していませんので以下はイメージです。

胸椎 背側

胸椎 胸側

各椎骨 横側


各椎骨 背側


各椎骨 胸側


鹿幼獣の胸椎
基本的には成獣と同じですが関節部分の骨化が進んでいません。写真の骨は雄鹿です。
関節部分は骨化が進んでおらず丸い骨が剥がれます。本来は軟骨でくっついていますが標本作成途中で剥がれてしまいます。また丸い骨には左右に耳のように薄い骨が付いています。この薄い骨は骨化が進んでおらず脆くなっています。凸が頸椎側、凹が腰椎側です。

下の写真は第二胸椎です。円形の骨はそれぞれがパズルのようにぴったりとはまります。凸側が頸椎側です。



凹側が腰椎側です。



成獣と幼獣の胸椎比較
成獣と幼獣の胸椎の比較です。成獣の方が一回り大きいです。

第一胸椎
左が成獣、右が幼獣です。頸椎から繋がっています。





第二胸椎





第三胸椎





第四胸椎





第五胸椎





第六胸椎





第七胸椎





第八胸椎





第九胸椎





第十胸椎





第十一胸椎
第十胸椎まで異なり後部側の形が変わります。後部の上部が凸状の形状をしています。





第十二胸椎
この椎骨以降、上部の形状がそれぞれ前が凹、後ろが凸になっており前後の椎骨に連結するようになっています。





第十三胸椎
腰椎に繋がります。





解体時の胸椎の刃の入れ方
胸椎を切り離す場合は黄色の線に沿って刃を入れ上下左右に曲げればもげます。ただし、第十一胸椎以降は骨が一部組み合っているため、骨を折る必要があります。
下は肉の付いた写真です。各椎骨の真ん中の白い部分が椎間円板です。シャーベットの様な感覚でサクッと刃が入ります。

参考文献
書籍
鹿の骨格の3Dデータが有ります。
ニホンカモシカは牛の仲間ですが骨格が酷似しているため参考にさせてもらいました。
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