腸抜き器「BUTT OUT 2」のレビューです。
鹿の腸を引き抜く道具「BUTT OUT 2」を知っていますか? アメリカで販売されています。昨年、購入して数十回使用しました。
購入の経緯
鹿の解体で一番難しいと言っても過言ではない肛門結紮。年間、鹿を千数百匹処理していますがこの処理に一番神経を使います。これを確実に衛生的に素早く出来る方法がないか調べていたところこの道具を見つけました。
しかし、結論を先に言うと、使い物になりませんでした。今は使用していません。
Butt Out 2の商品構成
本体と簡単な説明書が付いています。
説明書の翻訳
裏の説明を翻訳しました。
- 鹿を寝かせますバットアウトを肛門に挿入し、ストッパーがが肛門に当たっていることを確認します。
- 腸が引っかかったと感じるまでハンドルをひねります。更に半回転ひねります。
- 肛門から引き出します。まっすぐ引き出します。25~30cmほど腸を引き出し結んでカットします。その後、解体作業を続けます。
要するに肛門に刺してひねって抜くと腸が抜ける、バードフックの鹿版です。
説明では簡単にできるように思えますが実際は違います。海外のYoutubeでは「BUTT OUT 2」で検索すると使用している動画が出てきますが、やり方が中途半端で不衛生になっています。大まかな使用方法の確認にとどめておいた方が良いでしょう。
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実際に使ってみて
通常の肛門結紮と比較です。
通常の肛門結紮(所要時間約2分)
まずは通常の肛門結紮方法。道具があれば簡単です。慣れれば2分ぐらいで出来ます。
使用道具:電気ポット、骨透包丁、腸裂包丁、結束バンド2本、ビニール袋、食品用消毒アルコールスプレー
- 「オス:肛門」、「メス:肛門+膣」の周りの皮を骨透包丁で切る
- 腸裂包丁を1の切り口から差し込み腸周辺の膜を切り離す
- 「オス:肛門」、「メス:肛門+尿道+膣」を引き出す
- 3で引き出した先端をビニール袋で覆い結束バンドで結紮する。
- 念のため結束バンドを4とは逆向きにもう1本結紮する。
- ビニール袋に食品用消毒アルコールスプレーを吹きかけ体内へ戻す
腸を傷つけないようにすることが重要です。
Butt Out 2で肛門結紮(非推奨)
次にButt Out 2の使用方法。海外のYoutubeの動画は中途半端なので正しく使うなら次のようになると思います。使用中の様子を撮影しておけば良かったんですが、今後使用する予定もありません。
使用道具:Butt Out 2、骨透包丁、結束バンド2本、ビニール袋、食品用消毒アルコールスプレー
- 肛門にButt Out 2を挿入する
- 腸が引っかかるまでハンドルをひねる
- 腸を引っ張り出す
- 腸を結束バンドで結紮する。
- 腸を切る
- 切り口をビニール袋で覆い結束バンドで結紮する
- ビニール袋に食品用消毒アルコールスプレーを吹きかけ体内へ戻す
Butt Out 2を電気ポットで消毒したいところですが、耐熱温度が不明なので使用できません。恐らく熱湯に浸けると柔らかくなると思います。
Butt Out 2の感想
数十体ほどButt Out 2を使用した感想です。
メリット
- 肛門に刺して回して抜くだけなので速くて簡単
デメリット
- 幼獣は寛骨と仙骨の幅が狭いので肛門に差し込みにくい。または入らない。
- 腸が太い個体はひねっても空回りする
- 腸が弱い個体はひねったり引っ張り出すときに千切れる
- メスは通常のやり方の方が簡単
- 腸を体外に出した後の処理が面倒
- Butt Out 2は使用後、不衛生になる
このように通常の結紮に比べるとデメリットが多くなりすぎます。衛生面重視で食肉を作るためには確実性に欠けるので使用を断念しました。
デメリットが多くなりましたが、あくまで私の使用用途に合わないと言うだけです。もっと上手くやる方法があるのかもしれません。
肛門結紮が上手く出来ない方は一度試してみてはどうでしょうか?
狩猟生活Vol.9の施設紹介の記事にこれが写っています。どうやって使っているんでしょうね。
購入方法
Amazon.comで購入するのが簡単です。アメリカから輸入することになります。日本のアカウントとは別のアカウントが必要です。購入方法は他の方のサイトを参照して下さい。
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